「吟醸酒」誕生のお話
2021/12/19
「吟醸酒」誕生のお話
ビジネスマンのためのお酒のお話
お話の前に…
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↓ここからお話です。
静岡のお酒は業界内でも「静岡吟醸」とも呼ばれ、今では一目置かれる存在となりました。
恐らく、ここまで来るのに50年、60年とかかったと思います。
今回はお酒の商品紹介ではなく、吟醸酒誕生のお話をしたいと思います。
とは言え、この記事を書いている私が生まれる前の話ですので、いくらか憶測は含まれます。
細かいところはご了承ください。
もともと、清酒は麹米(発酵の元となる原料)と掛米(発酵が始まったのちに足してく原料)
があり、最初は食べるお米を基にいずれも使用していたとは思いますが、日本の中世時代の
頃(江戸時代かな?)でしょうか?関西の灘の酒蔵あたりで、麹米に酒造り専用のお米を使
うことにより、より美味しいお酒が造れるという事を発見したようで、特別なエリアで酒造
好適米(酒米)を栽培していたようです。
なので兵庫県の山田錦は、歴史もあり質が高い。と言われるようになったんだと思います。
つまり、麹米には酒造り専用のお米を使い、掛米には食用米を用いる。というのが昔ながら
の清酒の製造スタイルだったわけです。恐らくこのほうが、生産調整しやすいって事なんだ
とは思います。
しかし、前の1964年の東京オリンピックの前後の頃、お酒の販売が不振になり、生産量
が落ちていく中で、酒造好適米の需要が減少したんだと思います。当時の清酒業界は「灘の
大手酒蔵の一強」の時代とも聞いています。
簡単に言えば、灘の大手の酒蔵から、酒造好適米を栽培している農家さんに、注文のキャン
セルのようなものが出てしまったんだと思います。酒造好適米、酒米、酒造り専用のお米は
食用米(食べるお米)としては向いていません。清酒の麹を造る際に適した専用のお米です。
なので、キャンセルをされた農家さんは売り先がなくなって困ります。
もちろん、販売の低迷から中で働いている職人さんなどにも人員削減のようなものがあった
かもしれません。
酒造好適米(酒米)は通常の物より粒の大きいお米です。食用米よりも値段も高いです。
そこで、そのお米を削って、酒造好適米(酒米)のみ(麹米、掛米ともに)でお酒を造ろう
というムーブメントが生まれたわけです。それが吟醸酒というものです。
当時としては画期的。酒造好適米を削って造られた清酒は、洗練された綺麗な味わいのお酒
を生み出しました。吟醸酒という高級酒の誕生です。
※現在では技術の向上により、お米の違いがあっても割と洗練されたお酒が造れます。
酒造好適米は、その量が少ないため、吟醸酒を造るには生産量の少ない小さな酒蔵が適任で
した。そこで、地方にあるいくつかの小さな蔵が吟醸酒を造り始めました。
大手の灘のお酒に対抗するためには、普通にお酒を造っていたのでは、どうにもなりません。
そんな、生産量の少ない酒蔵が大手に対抗するために吟醸酒を造り始めたわけです。
昔ながらの業界人は言うかもしれません。
「なんか、変なお酒造ってますね」なーんて最初は否定されたかもしれません。
当時、酒米は生産量も少なく原価も高いため、物理的に大手の酒蔵では生産もできないし、
もし原料を手当できたとしても、コストが合わず、商品化は難しいわけです。
その後、交通網の発達や、冷蔵設備の普及により、吟醸酒は広がっていきました。
現在では、吟醸酒は一般の消費者にも受け入れられる高級酒となっています。
困った農家さんと、困った小さな酒蔵が、もしかしたら、人員削減で困った職人さんも含め?
かもしれませんが、これらの人たちが力を合わせて生まれたものが吟醸酒、とも言えるかも
しれません。
つまり、マイナスとマイナス、ネガティブとネガティブが合わさり、プラス、或いはポジテ
ィブな吟醸酒というものが誕生したとも表現できます。
マイナスとマイナスを組み合わせて、プラスを生み出す創造性、創造力。
この表現大好きです。
ビジネスの世界でも、色々あるのかもしれません。けど。
こんな風に吟醸酒は誕生したわけです。